誰もが怖い、一人暮らしの認知症
行き付けの喫茶店に良く来ていた80代の女性がいました。2階建ての住宅に一人で住んでいます。店に来るときには、友だちに貰ったといって、緑色のひもに通した家の鍵を首からかけていました。話の内容から、「軽い認知症だと思うよ。」と、マスターは言っていました。
そして、ある時から、彼女があまり店に来なくなったのです。
マスターが「今のうちに家を処分して、施設に入った方がいいよ」と言ってしまったのが、どうも原因のようです。
一人暮らしの高齢者の自尊心を傷つけない
マスターの発言、ちょっと危ないですよね。その女性は、ずっと働いていて、生涯独身を通していたそうですから、自分で生活できていることに自尊心を持っているはず。自尊心を傷つけるようなことは禁句のようです。
彼女のことを、気遣っていっているのは判るのですが、他人に言われるのは、ちょっと辛いですよね。
彼女の場合、民生委員さんが頻繁に訪問してくださっているようなので、施設に入る云々は民生委員さんにお任せして、マスターの立場だと、「ただ、気持ちよくお店に通えるように配慮してあげる」が、正解かなって思います。
認知症の人に言ってはいけないこと
認知症に症状として一般的に次のようなものがあげられます。
● 現在と過去の区別がつかない
● 自分のしたことが思い出せない
● 感情の抑えがきかず、泣いたり怒ったりする
● 相手の言った言葉はわかっても、内容が理解できないため混乱する
なので、言ってはいけないことは、認知症によって、出来なくなってしまったことを責めることです。
思い出せない、忘れる、理解できないことを責めてはいけません。
●食事をしたことを忘れたからといって、「さっき食べたでしょ」と忘れたことを指摘する。
●財布や鍵の置き忘れ、窓や玄関の閉め忘れなどの不注意を責める。
●言い間違えや、名前などの呼び間違えを指摘して直す。
など、認知症の人の自尊心を傷つけるような指摘をする時には十分に注意することが大切です。